新システムの本番稼働前の移行はもちろん、テストやトレーニングの前にも実施されることのあるデータ移行の工程は大きくデータ移行準備、データ移行リハーサル、本番移行に分けられます。
当記事ではデータ移行における工程の後半部分である「データ移行リハーサル」について説明します。前半部分のデータ移行準備に関する記事は以下のリンクからご覧ください。
データ移行リハーサル
データ移行は、リリース時に行う本番移行の前に移行リハーサルというものを複数回実施することが求められます。リハーサルを行わずいきなり本番移行を実施すると、想定していなかったエラーや作業漏れが発生する可能性があるためです。
リハーサルを通してデータ移行の手順を確立していき、エラーや作業漏れ等が無い事を十分に確認したうえで本番移行を行います。
移行リハーサル計画策定
移行リハーサルはただ闇雲に回数を重ねればいいと言うものではありません。回数を重ねるだけ時間とお金を要するため出来れば少ない方がいいわけです。
そこで、リハーサルを行う前にそれぞれの回次ごとに目的を設定します。
- 1回目:移行手順の過不足確認と移行ツールの検証
- 2回目:手順と作業時間の決定
- 3回目:本番と同様の体制で想定している時間内に完了するかの確認
上記はあくまで例ですが、回数を重ねるごとに、移行手順の精度を上げていき、最終的には本番と同等の環境で文字通りリハーサルを行います。
そして、移行リハーサル計画策定の工程では以下の内容をリハーサル別に検討・整理し、計画書を作成します。
- 目的
- スコープ
- 体制・役割
- スケジュール
- 課題・進捗管理表の運用ルール
- 振り返りの方法
また、計画書とは別に移行手順書や移行ツール、移行先の環境、移行データそのものも必要になるため、合わせて準備しておきます。
移行リハーサルができる状態になったタイミングで、関係者を集めてキックオフミーティングを開き、全員の足並みを揃えます。
移行リハーサル実施
全ての準備が整ったら計画に従って移行リハーサルを実施します。
移行リハーサル実施においては以下の点に注意して作業に取り掛かります。
- 各作業時間を計測する
- コミュニケーションの取り方に問題がないかを一連の作業の中で確認する
- 作業の過不足やエラーが見つかった場合は課題表に記録しておく
移行リハーサルは短期集中的に行うため、計測や記録をし損ねたことによる再実施は簡単には出来ません。
移行リハーサルで発見した情報は、漏れなく記録できるように準備の段階で記録のルール等を決めておくと、当日の作業がよりスムーズになります。
振り返り・課題整理
移行リハーサルの実施中は想定していなかったエラーや手順の不足、設定不備等が出てきます。これらを課題管理表などに各自書き出しておき、リハーサルが終わった後に振り返りでメンバー全員と認識合わせを行います。
ここで整理された課題は次回リハーサルで同じ課題が発生しないように、移行手順書や本番移行計画書を更新します。
移行リハーサルにおいてはこの振り返りが最も重要になるため、リハーサル後速やかに会議を開催し、PMOがうまくファシリテーションをとって行う事がポイントです。
まとめ
データ移行を成功させるためにはリハーサルが欠かせません。リハーサルで不具合を出し切り、その結果をいかに手順書や計画書に反映させられるかが、本番移行成功の鍵となりますので、念入りな計画を立てていきましょう。
成果物をまとめると以下のようになります。
- 移行リハーサル計画書
- 移行リハーサル用のデータや環境
- リハーサル結果を反映させた手順書や本番移行計画書
関係者全員の調整や作成する成果物も多い移行リハーサルですが、非常に重要なタスクの1つとなるため、プロジェクトメンバーが一丸となって進めていきましょう。