システム導入における3つの移行

システム導入における移行として現行システムから新システムへ移行するデータ移行はイメージし易いと思います。
しかし、システムの規模にもよりますが、システム導入における移行には大きく分けて3つの種類があります。
それが、先ほど述べた「データ移行」、新システムの環境構築などに伴って行う「システム移行」、新システムを導入することにより新業務へと変わるための「業務移行」の3つです。
この記事では、この3つの移行について概要レベルで解説していきます。

データ移行

データ移行は3つの移行の中で最もイメージがつきやすいと思いますが、現行システムから新システムへデータを移すために行います。
現行システムが無い場合にも、新システムを稼働させるために、これまでエクセル等で管理していたデータを加工して新システムへ移行することもあります。
さらに、データ移行は本番稼働するためだけではなく、システムテストやユーザーテストを行うためにも実施されるため、システム導入プロジェクトの数あるタスクの中でも中核を占める作業の一つとなります。
また、データ移行は現行システム稼働中に登録されるデータの凍結や本番移行作業を行う際の業務停止など、単にデータを新システムへ移すだけでなく、関係各所への調整も必要とされるため、想定しているよりも作業が複雑になりがちです。
データ移行の主な方法や工程、実施するべきタスク、想定される成果物など詳細については以下の記事で解説しております。
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システム移行

現行のシステムやソフトウェアを異なる基盤に移すことをシステム移行といいます。また、新しい基盤に移すだけでなく、システムのバージョンアップに伴う作業もシステム移行という言い方をする場合もあります。システム移行もデータ移行同様にシステム導入プロジェクトには欠かせないタスクの1つであり、その方法は導入するシステムの特性やプロジェクトの方針によって様々です。
システム移行の種類としては主に以下の3つが挙げられます。
・現行オンプレミスから新しいオンプレミスへの移行
・現行オンプレミスからクラウドへの移行
・現行システムを破棄して新しいシステムへ入れ替える移行
いずれの移行作業もセキュリティ要件の設定や新基盤との接続確認などを行うためインフラチームとの協力して移行作業を行うことが多くなります。
システム移行の主な方法や工程、実施するべきタスク、想定される成果物など詳細については以下の記事で解説しております。
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業務移行

業務移行という言葉はあまり聞き慣れないかもしれませんが、一言で表すと新システムの導入に伴った現行業務から新業務への移行のことを言います。もう少し噛み砕くと、これまで使っていたシステムでの業務を辞めて、新しいシステムになった事による業務の変化に適応していくことを言います。
また、システムを利用するユーザだけではなく、システムを保守・運用していくメンバーも新システムの管理方法を押さえておかなければならないため、この業務移行の範囲に含まれる事になります。

本番稼働後はシステム変更や業務変更により、現場はパニック状態になります。現場からシステム管理者への問い合わせが多発したり、システム管理者はうまく処理できなかったりするわけです。しかしこの状況はシステム導入プロジェクトでは当たり前の話です。この状況に備えて、対策を検討し準備することも業務移行の重要な仕事の1つです。

業務移行として検討・実施していくタスクは主に以下の通りです。

  • 業務変更点リストの作成と説明
  • トレーニングの準備と実施
  • 稼働後ハイパーケア計画策定
  • 運用システムの構築・テスト
  • 問い合わせ対応やシステム復旧などの運用テストの準備・実施

上記のタスクは全て稼働のための準備にあたり、これらの精度によっていかに安定した稼働が出来るかが決まります。

いかに素晴らしいシステムを構築したとしても、それを使うユーザーや管理する担当者のスキルが追いついていなければ宝の持ち腐れとなるわけです。

まとめ

システム導入プロジェクトにおける移行は3つあります。

  • 現行システムから新システムへ業務データを移す「データ移行」
  • 現行基盤から新基盤にシステムを移す「システム移行」
  • 現行業務から脱却し新業務で運用するための「業務移行」

どれも重要なタスクになりますが、プロジェクトの規模や現・新システムの特性によって作業量は様々です。
自分たちのプロジェクトに見合った無理のない移行を行い、プロジェクトの安定稼働を目指しましょう。