システム利用ユーザに対する業務移行の工程(業務移行準備)

業務移行は新システム導入による現行業務からの脱却と、新業務で運用できるようにするための活動のことを言いますが、業務移行には「システム利用ユーザ向け」「保守・運用メンバー向け」の2種類があります。
そしてシステム利用ユーザ向けの業務移行は大きく「業務移行準備」「トレーニング」「本番移行」の3つに分けられます。

当記事ではシステム利用ユーザ向けの業務移行における業務移行準備でやるべきことを解説していきます。

業務移行計画策定

業務移行を進めていくにあたり、まずは目的や体制、スケジュール等を定義した業務移行の全体計画書を策定します。
計画書に記載されるべき内容は主に以下のようになります。

  • 業務移行を行う目的
  • 業務移行の対象範囲
  • 業務移行の各種タスクを行う人を明記した体制・役割
    ※システムを利用するユーザも責任者単位で記載するようにしましょう
  • 業務変更点整理やトレーニング、本番移行等を実施するスケジュール
  • 業務変更点整理やトレーニング、本番移行等の主要タスクの詳細と想定される成果物

また、計画書の策定と並行してプロジェクトの管理ルールも考えていきましょう。業務移行の各種タスクを進めていく中で発生する課題をどう整理していくか、その課題や進捗の確認をどこの会議体で行うようにするかといった事を決めていく必要があります。
※プロジェクト共通で管理ルールが策定されている場合はそのルールに則り、必要に応じてテーラリングをして業務移行のタスクを管理していくようにしましょう。

この計画やルールは策定後、プロジェクトメンバーを集めてキックオフミーティングを行い、業務移行のタスクを本格的にスタートさせる前にメンバーの足並みを揃えます。

業務変更点整理

業務移行は計画書の目的にも記載される通り、現行業務から脱却し新業務で運用できるようにするために行います。
これを達成するためには、まず最初に新システムを導入することによる業務の変更点を洗い出す必要がありますが、業務の変更点を洗い出すためには要件定義の工程で決定した内容を1つずつ確認していかなければなりません。
つまり業務移行の各種タスクは、要件定義が終わるタイミングでようやく開始できます。
(リソースの問題もありますが、業務移行の計画策定は要件定義を実施している間に行うことが理想的です)

要件定義書で決められた内容を確認して現行の業務との差分をリストアップし、その差分の影響を受ける部署や担当者を洗い出していきます。
そして、ここで洗い出した業務の差分は、のちの工程で行う「トレーニング」で該当の担当者を集めて補完していくといったタスクを実施していきます。
また、新業務に変更するためのトレーニングを行うということは、その部分の業務マニュアルや操作マニュアルが必要になるため、業務移行における前半の工程では業務の変更点一覧を作成していきましょう。

まとめ

システム利用ユーザ向けの業務移行における準備段階で作成すべき成果物を纏めると以下の通りです。

  • 業務移行全体計画書
  • 業務変更点一覧

業務移行は要件定義の内容よってタスクのボリュームも変わってきます。また近年はパッケージシステムの標準機能に業務を合わせることが一般的であるため、業務移行のタスクボリュームが多くなる傾向にあります。しかし、現行業務に拘りパッケージシステムに対して追加開発をする方が多くの費用が掛かることになるため、できる限り標準機能に合わせるようにして業務移行でキャッチアップするように心がけましょう。