QCDとは、Quality(品質)、Cost(費用)、Delivery(納期)の頭文字を並べたものであり、この3つは製造業において欠かすことのできない重要な要素です。
QCDの重要性はシステム導入プロジェクトにおいても同様です。
当記事ではシステム導入プロジェクトにおけるQCDの重要性とその考え方について解説していきます。
システム導入におけるQCDの優先順位
製造業におけるQCDは基本的にそのバランスが重要だと言われます。
製造する製品の品質が悪いことはもちろんNGですし、その逆に過剰品質でも顧客から求められていなければそれは必要のないものです。
コストについても、予算を超える費用で製造することは基本的に許されません。
納期もオーバーすれば何かしらの形で損失を被ることになります。
製造業におけるQCDは自社とクライアントの双方でバランスを取り合い、ちょうどいいところで、ビジネスを作り上げていくことが重要となります。
しかし期間限定かつ短期決戦での成果が求められるシステム導入プロジェクトにおいては少し考え方が異なります。
結論としては、システム導入プロジェクトでは「品質を担保できないのであれば、プロジェクトを中止にするべき」ということです。
つまり、品質を維持・向上するためのコストがかけられない場合や、スケジュールが延ばせないという場合は、無理にプロジェクトを進めるのではなく、中止にした方がよいということです。
プロジェクトは基本的に期間限定に組織され、可能な限り短い期間と少ない人数で目的を達成させることが求められます。
つまり、プロジェクトマネージャーは常にコストや納期のプレッシャーに晒されている訳です。
そういう状況下では、メンバーが作成する成果物の品質は「並」以上には中々なりません。一生懸命頑張って並の品質になれるか、というラインが一般的です。
さらにシステム導入における品質は、形の無いものを作っているだけあって、中々評価しづらいのも事実です。
プロジェクトマネージャーや経営層からコストや納期ばかりを追い求められると、品質が全く伴っていないシステムが出来上がります。
そのようなシステムはテストフェーズで障害が多数見つかり、最悪の場合1から作り直しという状況になることもあります。
このような状態を避けるためにも、評価しにくい品質を関係者全員が最重要項目として扱うことがなにより大切です。そして、工数をかけて品質が悪くなることのないようきちんと成果物を管理し、仮に品質が下がっているのであれば、追加で予算を組み人を投入したり、スケジュールを延ばしたりして品質最優先でプロジェクトを進めていくことが重要です。
もし、予算の追加やスケジュールの延伸が出来ないのであれば、品質の悪いシステムが出来上がる事ほどややこしくなる事は無いので、一旦中止にして今後の対応をどうするかを検討した方がよいでしょう。
システム導入プロジェクトにおける品質を維持・向上させる方法については以下の記事で解説しています。
まとめ
コストや納期ももちろん大事な要素ではありますが、システム導入においては品質がとにかく重要な要素となります。
システムの品質を維持・向上させるためにどのような仕組みが必要かを全員で考え、上位層含めみんなが同じ意識の中で各タスクを進めていくことが、結果的に最短・最小のコストでプロジェクトを成功に導くことができます。